字多田ヒ力ルのトラヴェリング

ジタダヒチカラルの自由自在な動き回り方

M-1グランプリ2018 感想

 

 

 

 

敗者復活戦

2015年のナイツ(俺ら東京さ行ぐだ)、2016年のジャルジャル(唇プルプル対決)、2017年の天竺鼠みたいに勝負かけてきたのがマヂカルラブリーだけで個人的には盛り上がらなかったが勿論おもろかった。準決勝順位10位からし蓮根11位東京ホテイソン12位たくろうには驚いた。来年に期待。投票はマヂカルラブリー、たくろう、マユリカに入れた。プラス・マイナスが行ったと思ったけどなあ…。

 

 

決勝

 

1 見取り図

「彼女が欲しい」

リリーの髪型が気になった。「ダーリン」、「おんどれ」、「社長」は正直2015ジャルジャル劣化コピーに見えた。「マルコ牧師」と「すがゆりこ」ももう既にジャルジャルが2015のフォーマットの別のネタでやってるし。見取り図は元元ツッコミまでのストロークが長めやからトップバッターはやっぱり向いてないよなあ。「スポブラ」と「あたおか」という見取り図の武器はフルに出したけど、2015ジャルジャル鼻エンジンのボケを挟んで繋いだ結果、そっちでそこそこウケた反面、見取り図らしいワードボケがウケきらんかってぶつ切り感が強くなった。上沼さんと志らくさんが「前半が古かった」って言ってて、確かに設定はひねってないけど、ワードセンスは古くないはずやし、何よりそっちの方が見取り図らしいおもろさやと思う。ただ何かワード以外の部分でも新しいものを作らないと、ワードをひねるだけじゃ頭打ちなんかなとも思う。

あと掴みの「豚はええわ、勝手に包むな」はおもろいけど、こうさせたのはあなたですよ、大吉さん。「漫才同点やったから掴みの速さで決めました」。この発言は影響力あったと思う。また、塙の意見には同意で、オレも漫才師は基本的に前を向いといたほうがいいと思う。盛山が審査員を見ないようにしたって言ってたけど逆効果やったんちゃうかなあ。審査員7人ともあんまり褒めなかったことが前半の空気の重さにつながった。

 

2 スーパーマラドーナ

「隣人」

M-1の5ちゃんで言われてたようにコードのくだりはちょっと怖かったな。田中がドアをバンって閉める入りはめっちゃおもろかった。掴みが前やったことあるやつやったんは一番自信あったからかな。「後からこんなにのジェスチャーやってる」はおもろい。地獄のショータイムで嫌な予感したけど的中した。他のネタでも地獄見したるってくだりあったけど…あれは田中のおもろいところではないと思う。去年の「ミナミの帝王」が高評価(準決、敗者復活、ネット)やって、そっから設定を進化させた結果、暗いネタになってたな…。たぶん出順が後ろでも無理やったやろなあ…。さらばスーパーマラドーナ

 

3 かまいたち

「タイムマシン」

つかみのボケは2015のジャルジャルの「お客さんに問いかけるボケ」を連想した。わかりにくく説明した、ってのは発明やった。ネタ終わりに松本さんも被せてておもろかった。順番が違えば最終決戦に残れてたかもしらん。2年続けてスーマラと共に前半の出番なんは持ってない。志らくさんが「うまい」って言ってたけど、強いて言うなら山内が緩急あるのに対して濱家がずっと同じトーンで喋ってるのが気になった。

あと松本さんはかまいたちに92点をつけるつもりやったんちゃうかなって思う(実際は90点)。かまいたちの「タイムマシン」は楽しみにしてたネタの一つで、期待通りの面白さやって良かった。

 

4 ジャルジャル

「国名わけっこ」

3回戦で「それ絶対言っちゃダメ」をやってるのを見て、ラストイヤーやけど決勝厳しいなって思ってからの準々決勝これ。めちゃくちゃおもろかった。去年の「校内放送」と同じくらいおもろかった。

紹介VTRがめっちゃ良くて、「2人でじゃれ合うように作ってきた漫才はいつの時代でも唯一無二。最後まで思う存分戯れるがいい!」ってのが最高やった。たぶん去年の福徳の涙とかがM-1スタッフの心を揺さぶった結果なんちゃうかなと思ってみたり。

M-1の5ちゃんで先に知ってたけど、準決勝から言ってる「後藤です、ジャルジャルです、福徳でーす。」はやってそうでやってない発明。おもろい。後の打ち上げで福徳は入りを嫌がってたけど(子供の頃の遊びをやってみよう、という漫才らしい入り)、オレはジャルジャルがその入りで始まるのは全然いいと思った。わけっこ国名のくだりもおもろいし。あと「平和なゲームやな」が「平和な遊びやな」になってたのも良かった。去年もそうやけど「校内放送ゲームやろう」じゃなくて「変な校内放送やるから盛り上げて」みたいに「ゲーム」って言わへん方がいいんやと思う。ただでさえ「これは漫才なのか?」とか言わはるお客さんもおんねんから。

国名わけっこ本編も準々よりちょっとおもろくなってた気がする。後藤の首なんかな顔なんかな肩なんかな、よくわからんけど。インドネシアをインドとネシアに分けたことはあるけどインとドネシアに分けたんはジャルジャルが初めてちゃうかな。あと「へばりつく」ってなんなん笑。エジチュウとかギリモンとかもおもろい。ゼンチン使って(全身使って)を無くしたのも良かった。

M-1の5ちゃんで志らくさんのことを「一つも笑えなかった(99点)」とかいじってた書き込みがあったけど、週刊誌記者みたいな切り取り方するなあって思った。漫才には笑わないけどめちゃくちゃおもろい漫才や笑うけどそこまで面白くない漫才があるということやと思う。オレはめちゃくちゃ笑ったが。

上沼さんは低評価だったが「次回作るとき大変やと思う」ってのはその通りで、例えばダイアンやからし蓮根、また和牛とかならシチュエーションを変えてくるということが想像できるが、ジャルジャルに関しては2015のシステム以外のネタはほとんどが独立していて、ジャルジャルの漫才のことをわかったって思って次のネタを見ると「え?知ってるのと違う!?」ってなって付いていかれへんってなる人がいてるんやと思う(相当数)。

松本さんの点数が去年より3点下がってることをM-1の5ちゃんで「校内放送の方がおもしろかったもんな」って解釈してる意見があったけど、オレはかまいたちに92点やったと思ってるからジャルジャルは94点になるし、最近の松本さんの採点はなるべく同点にせんと個人的にも順位をつけるって決めてそうやから、松本さん的にも去年と同じくらいおもろかったんちゃうかなって思う。富澤が「マシーン」って言ってたのに対して5ちゃんで「ジャルジャルは2人ともクールやからある意味2人の人間味は出てる」って意見があって、ジャルジャルファンのオレも納得いった。

あともう一つジャルジャルの凄さを言わせてもらうと、この「国名わけっこ」が去年の「校内放送」と同系統、亜種に見えるって意見がチラホラあって、そこは同意するけど、去年の時点であのネタの亜種ができることを想像した人いますか?オレは準々決勝で「国名わけっこ」を見たときにまあびっくりした。去年の積み上げ式の「校内放送」は笑い飯の「ハッピーバースデー」、「象さん」の流派の扉を開けてて、ジャルジャルはそっからもう一個扉を開けてしまった。もうそこはジャルジャルしかいない領域(言葉遊びという共通点では近くの部屋にラーメンズがいるかもしれない)やと思う。

 

5 ギャロップ

「コンパ」

むっちゃおもろいけどなあ。見取り図もそうやと思うけど、初決勝で爪痕を残せるほどのパンチ力ではないねんなあ。礼二に変化が欲しかったって言われてたのは、ひとえにウケが足りんかったからやろうな。見取り図もギャロップも知られてたら充分ウケるねんけどなあ。塙と上沼さんに「4分のネタではなかった」って言われてたのはちょっとかわいそうやった。エンジン掛かるのも早かったし、摩擦の少ない道路(知られている環境)さえあればバッチシやったはずやから。劇場でウケてたってのはそういうことやろな。ネタ選びは間違ってへんと思った。松本さんの「あんまりハゲてない」、志らくさんの「あんまりハゲ方がおもしろくない」は笑った。けど、反省会で林が面食らったって言うてたように、あそこでポジティブな返しができひんかったことで、上沼さんに自虐は面白くないって言われてしまったのは残念。だって、林のボケの成分の多くは自虐やねんもん。決勝の結果は振るわんかったけど、ラストイヤーにⅯ‐1ファイナリストっていう肩書がもらえたことだけでも報われたんとちゃうかなあ。お疲れさまでした。

 

6 ゆにばーす

「遊園地」

序盤に噛んだときは一気に冷えたけど、その直後に川瀬のほうが「反吐が出るわ!」っていうくだりでは意外に取り戻せてた。去年のあったかい会場ではちょっとウケすぎやったけど、今年はもうちょっとウケてよかったと思う。ネタのクオリティも去年と同じくらいでおもろかった。去年、松本さんに「離れて終わるのが新しい」って言われたのを踏まえて、漫才内漫才で加点を取りに行ったところはいいなって思った。ただ結果的には相対評価で松本さんは80点やったけども。「2年連続で決勝行ったのは実力」って川瀬が言っててそれはその通りやねんけど、優勝はないってなんとなく思ってたんちゃうかなあ。スーパーマラドーナもそうで、決勝が初めてじゃないだけに、今年はかまいたち霜降り明星、和牛(ジャルジャル、トム・ブラウンは別枠)には勝たれへんってわかってたような気がする。

 

7 ミキ(敗者復活組)

「ジャニーズ」

今田の「エントリー」からのスタート。「言うてることMr.Childrenと一緒やで」が2015銀シャリの「やり口がボンジョビと一緒やで」と一緒やで。去年の「漢字」の時も思ったけど、ミキの作家って銀シャリと一緒なんかな?

おらん奴を言うボケはミキの身の丈に合ってないボケやと思う。見取り図が先にやってたこともあってあんましウケへんかった。

今年のミキもファイナリストととして相応しいおもろさやったけど、正直ネタは去年の方が良かったし、上沼さんから98点を貰ってしまったことはあんまりプラスになってない気がする。ただもうミキは漫才プレイヤーとしてはほぼ満点やから、志らくさんの99点に呼応して98点を出した上沼さんの気持ちもわかる。来年も和牛、かまいたちと共に決勝を盛り上げてほしい。

 

8 トム・ブラウン

「ナカジマックス」

去年の「キングムーミン」がめっちゃおもろくて、今年はどうなんやろうと3回戦を見たらまさかの同じフォーマット。去年のカミナリを見て、一昨年の方がおもろかったから、トム・ブラウンも同じなんかなって思ってた。でもめっちゃおもろくて、特にキムタクを混ぜた時に「キングムーミン」を一回見てるからどうなるかわかって、それが期待通りに出てきた時にめっちゃ笑った。準々と準決でやった「加藤一二三」も最高で、決勝進出が決まって一番嬉しかったコンビ(ジャルジャルの「国名わけっこ」は当然として)。M-1の5ちゃんで言われてた布川の声も治ってて良かった。

2人が交互に「よろしくお願いします」って言った後に拍手ゼロやったんはおもろかった笑。予選の時から気付いてたけど、合体の時にみちおが動いてるの良いよね。去年の時点では無かったと思う。

明らかに全体を通して客ウケが足りてなかったけど、めちゃくちゃおもろかった。これでもし最終決戦上がれてて「加藤一二三」やれてたら志らくさんからの1票は取れてたんやろなあ。

あと布川が前もって言おうとしてたっていう「ほげー」を上沼さんのコメントの後に言おうとして、「ほっ、ほっ、ほ…」ってなってみちおが止めてたんもおもろかった。

 

9 霜降り明星

「豪華客船」

霜降りの今年の勝負ネタで、5ちゃんでタイトルを見てワクワクしたネタ。

夜行バスのくだりの最後にさらっと「消灯」「消灯しとんかい」って入れてて、ウケてはないけど良いと思った。みそしる大臣のくだりも見取り図、ミキみたいに「だれ?」やったら予想通りやし、「どんなあだ名やねん!」やってもあかん。ラジオネーム、丁度おもろい。バイキングとかダンスとか扇とかちょくちょく外してるけど、また次のボケがすぐ来てそれがウケるから大丈夫。手数が多くてノンスタイルみたいっていう意見があって、それに対してはノンスタイルには申し訳ないけど、ボケのセンスとツッコミのワードセンスが違う。志らくさんが言ってた「うるさがた」の人にも霜降りはイケると思う。後半出番を引けたのも持ってた。

 

10 和牛

「ゾンビ」

和牛のゾンビも楽しみにしてたネタ。紹介VTRで川西がチラッと水田のほう見て、そのあと水田がチラッと川西のほう見るのええな。去年のジャルジャルもそうやけど、嘘みたいにラストバッターなんねんなあ。去年も9番目やし。

和牛のゾンビ見てて、1回目に気付いたことと2回目に気付いたことがあんねんけど、1回目に気付いたのは終わり方。マイクからまあまあ横にズレてるのにそこにスタンドマイクがあるかのように「もうええわ!」言うて終わってんねん。とろサーモン村田じゃないけど、「どこで終わってんねん!(この場合のどこはタイミングではなく場所)」って思っておもろかったし、これは何より去年の松本さんのゆにばーすへの「離れて終わるのが新しい」っていう加点を狙いに行ったってことやし良かったと思う。

そして2回目に気付いたこと、これがヤバイ。みなさん和牛のゾンビは何漫才やと思いますか?

実は前半ゴリゴリのしゃべくり漫才で、後半からめちゃくちゃ自然にコント漫才やってんねん。もうビビったもん。1回見ただけやったら気付かんかった。去年、松本さんに「(水田が)さらっと一人二役になるのが新しかった」って評価されてたところを伸ばした結果、たぶん1回見ただけでは評価してもらえないほどのことをやってしまって、加点対象にしてもらえてなかった気がする。

めちゃくちゃおもろかった。さすが和牛。

 

 

最終決戦

今田が吉田沙保里の次に横のお客さん(たぶんスタッフ)ってふったときに倉本さん映ってた。

 

1 ジャルジャル

「決めポーズ」

去年のザマンザイでやったネタ。打ち上げでも言うてたけど「それ絶対言っちゃダメ」が仕上がらんくて、去年の2本目のネタをやったと。ジャルジャルが最後にM-1でするネタとして、これ以上のものはなかったかもしらんね。

福徳の声が荒かったのはなんでやったんやろ?

新しく加わってた「あと5回でやめる→やめへん」のくだりもおもろかった。指そり返すはあんまり伝わってなかった。

 

2 和牛

オレオレ詐欺

コントの入り方こだわってるよなあ。「マナミちゃん、やれー」みたいに今回は目で促す、と。

あと、このネタでも新しいことやってます、和牛は。さっきのネタが「しゃべくり→コント」やったんに対して、このネタはコント漫才やけどシチュエーションが「電話と喫茶店」で2つあって、しかもそれを2回するという「電話→喫茶店→電話→喫茶店」になってんねん。ジャルジャルが言葉遊びやゲーム漫才の扉を開けていくのに対して、和牛はライバルの最も多いコント漫才の最も奥の扉を開けていると言えると思う。

めちゃくちゃおもろいな。

ジャルジャルとか和牛とか霜降りに対する意見で言いたいことがあって、こんなことを言うてもしゃあないのはわかってるんやけど、ジャルジャルに関しては「新しい」、和牛に関しては「上手い」、霜降りに関しては「手数」。これらをおもろいと捉えてくれる人はそれでいいけど、「新しいだけでおもんない」、「上手いだけでおもんない」、「手数だけでおもんない」っていう意見をまあまあ見た。あのね、まず「おもろい」んよ。3組とも。それも抜群に。3組ともに共通してるのはセンスがあること。ほんでそのセンスに気付けない人がこぞってこういう意見を言う。間違ってることに気付かんと損するのは自分らやで。

 

3 霜降り明星

「小学校」

霜降りの代表ネタ。

もちろん、おもろかった。

3組終わった時点で誰が優勝すんのかマジでわからんかったし、誰が優勝しても心から喜べるって感じやった。ずっとおもろいけど獲っておくべきタイミングを逃しているジャルジャル(2015)、和牛(2016、2017)、そして一番獲っておくべきタイミングの霜降り明星。素晴らしい。おめでとう。

完全に余談やけど、オレに最終決戦の投票権があったら、ざっと思い返しただけで笑い飯が4回(2002、2005、2009、2010)、ジャルジャルが2回(2015、2018)、和牛が2回(2016、2017)優勝してることになるという…。だからなんなんでしょうか?

 

 

M-1サイコー!👍👍